世界の最南端のワイン産地セントラル・オタゴにピノ・ノアを求めて

年末年始の間、初夏を迎えた(はずの)ニュージーランドを訪問してきました。訪問の目的は2つ。まずは、ここ数年で世界的に評価が急上昇している南半球でも最南端に位置するワイン産地−セントラルオタゴ地域(未訪問地)を訪ね、造り手と会い、直接自分でワインを賞味すること。
なにぶんこの地域から造られたピノ・ノア2000が、世界のワインコンクールで最も権威が高いとされるThe London International Wine Challengeで金賞とチャンピョンに輝いたのです。ニュージーランドのワインと自然に魅了される身にとって、訪問しない手はありません。

 そして何より、これまで輸入しているワイナリーを訪ね、率直な意見交換を重ねることでした。
その結果、今回の訪問は実に有意義なものでした。行かなければ分からないことばかりを、たっぷり収穫して来ました。

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■ 南半球最南部のワイン産地セントラルオタゴで素晴らしいピノ・ノア、リースリングを味わう

 

 最果ての地、と言う言葉があります。荒涼として茫洋とした景観です。その言葉が口をついてくる実感がありました。

 夏を迎えるというのに万年の雪が残り、氷河がえぐった後の岩肌を剥き出しにした山が連なり、崩れ落ちそうな崖の下に、急流の河が白濁して流れています。その崖と岩肌のわずかな急斜面のがれきに、ぶどう畑が開墾されているのです。この地が、わずか開墾から20年で世界のワイン市場で知られることになったセントラルオタゴ地域です。特にピノ・ノアの良質さが際立ち、リースリングやシャルドネなども相当に優れています。

 

 このセントラルオタゴ地域には、南島の景勝地クイーンズタウンの空港からわずか30分ほどで辿り着きます。クイーンズタウンは、我が国の登山客やスキー客に親しまれた、観光を基盤とした南島の代表的な都市です。 その南に広がるワイン産地は、かつて19世紀半ばにゴールドラッシュで賑わった原野だったのです。南緯45度。北緯では稚内から樺太に相当します。 

12月はこの地では初夏にもかかわらず気温が低く、我々が訪れる前日のクリスマスには降雪があり、25年ぶりの異常気象だったとか。朝は5℃を下回ります。昼は一気に気温が上がり、刺すような陽光を浴びますが、冷涼な空気に変わりはありません。

 

 セントラルオタゴ地域は、5地域に区分されています。しかし、大まかに3地域に分かれます。
クイーンズタウンから30分ほどの地から始まるギブストン渓谷地域

さらに渓谷に沿って東に位置するクロムウェルやバヌックバーン周辺の湖岸地域、南部のアレキサンドリア周辺地域です。ワイナリーの数は主なもので22箇所。このうち10箇所のワイナリーを訪ね、深い感動と印象を持ちました。ワインパートナーで、いずれこれらのワインをお届けしたいものです。

■ クリアヴューワイナリーのシャルドネが国際シャルドネコンクールで金賞を受賞

 

 北島のワイン銘醸地ホークス・ベイに燦然と君臨するクリアヴューワイナリーでは、オーナーからランチに招待されました。宿泊の提供も受けたのですが、断ってニュージーランドのワイナリーレストランをも代表するこの店のランチで、悦んで招待を受けたのでした。間断ないお客の到来で、ヒスイ色に輝く海に面したクリアヴューワイナリーは、いつもながら混み合っています。

 オーナーのティムとパートナーのヘルマ女史に会うのは初めてでした。というのも、クリアヴューワイナリーは、全体でも5,000ケース程度の少量ワイン醸造家です。その70%がメールオーダーで予約販売され、20%が店頭やワインショップで売れ尽くすという第一級の人気ワイナリーなもので、輸出などいっさい見込みがなかったのです。2年前に初めて訪れ、昨年訪問して再会した担当者ジェフ氏の推薦でワインパートナーへの輸出につながったもので、そのとき来イギリスとオーストラリアへも、少量ずつ輸出を始めたそうです。

 

 なんとクリアヴューのワインラベルが変わりました。日本でも、素朴なクリアヴューのワインラベルに賛否両論があり、輸出も始めたのでラベルを換えたいと相談を受けていましたが、これまでのイメージを残しながら、シックなラベルに変わり、イメージもちょっと変わるのが不思議です。

 

 驚嘆すべきは、クリアヴューシャルドネ2001が昨年の国際シャルドネコンクールで、見事金賞に輝いていることです。シドニー国際大会トップ100コンクールでも、金賞を獲得しています。

 

クリアヴューワイナリーは、これまでにも多くに表彰や名誉に輝いており、さらにまたチャンピョンの称号が加わっただけ、とでもいうかのように、オーナー達は特に自慢をするわけではありません。ほかのどこにもない美味しいワインを愉しく飲もう、に徹しているようです。

 

そういえば、ジェフはホークス・ベイのセラードアで最も優れたチャンピョンとして表彰されましたし、ティムはbest winemaker of the yearの称号をも得ていました。数多くの称号と名誉に輝くクリアヴューのワインの魅力を、日本でもどうぞお確かめ願います。

 食事の後は、手作りのぶどう畑や半地下式のセラー(ワイン醸造室、貯蔵庫)、レストランで供しているオリーブや果物畑を案内してもらいました。700mに及ぶ整然としたぶどう畑の地面には、白い熱反射シートを敷き詰め、彼等が最初に採り入れたこの方式が他のワイナリーに普及するに至っています。10fのぶどう畑を15fに広げ、新たなぶどう畑からの収穫は2003年から始まるそうです。新たな感動が生まれることでしょう。

 

■ ユニソンが第3のワインを造った!?

 

ニュージーランドは、ワインの資料が大変整っています。今回の発見は、この国のワイン鑑定家の一人者マイケル・クーパー氏によるWine Atlas of New Zealandの刊行です。装丁や内容はヒュー・ジョンソン氏のThe World Atlas of Wineを踏襲して大判です。ニュージーランドワインとワイナリーの歴史や概略、地勢等が大変分かりやすく描かれており、何よりの図鑑となります。

 さて、2年ぶりに発刊されたボブ・キャンベル氏によるワインガイドでユニソンのページを開けてびっくり。ユニソンでは3つのワインを造っている、と書いてあるのです。第3の正体は? ロゼ。なぜロゼを造ったのか、それは造り手のブルースとアンナ・バーバラが愉しみたかったから、と書いてあります。
ワイナリーで二人に聴くと、アンナ・バーバラはキャッキャッと笑いながら、夏の暑いときにはロゼを飲みたいものね、と屈託がありません。赤ワイン専門家の二人は、自分たちの愉しみとして少量のロゼを造って、市販することもなく、訪問して来た客が望めば売っているのです。ベースにはシラーを用いています。ニュージーランドでシラーのロゼは珍しいのです。

 そういえば1年前に訪問したときに、ロゼを試しに造ってみた、といって我々で飲んだものでした。お客が来たら慌てて隠していたことを、思い出しました。ボルドーでは夏に当然のように楽しまれているロゼは、暑くても爽快なホークス・ベイの気候によく合っています。二人の愛らしい子供も少し大きくなって、家族ぐるみの付き合いは嬉しいものです。

 

■ オリーブオイルを輸入します

 

そのユニソンを紹介したワインガイドには、「ユニソンではワインはもちろんだが、アメリカで人気bPのオリーブオイルと、ニュージーランドで最高のバルサミコ(8年熟成)を買うことも忘れないように」と書いてあります。ユニソンのブルースとアンナ・バーバラは、お互い各国でワイン造りの研鑽を重ねた後、最後にイタリアのキャンティ・クラシコのワイナリーで知り合い、そのときに学んだオリーブオイル造りを、二人がヘリコプターで探したワイン銘醸の地で実践しているのです。
わずか120本ですが、ワインパートナーでそのオリーブオイルを輸入し販売します(250ml。価格未定)。美味しいユニソンワインと同様に、新鮮なユニソンオリーブオイルの感動が生まれることでしょう。詳細は、輸入したときにお知らせいたしますので、お楽しみにお待ちください。

 

■ 余談ながら

 北島のワイン銘醸地ホークス・ベイがあるネイピア市を訪ねたのはちょうど1年ぶりです。アール・デコの美しい都として知られるこのネイピアに着いた途端、まるで昨日のことかのような気分になりました。懐かしさが掌の中にあるようです。でも、愛らしいほどに小さな空港は新調中でしたし、市内を走る基幹道路も、渋滞を避けるように整備が進んでいました。ショックだったのは、美味しく食する馴染みの中華料理店「Jade Garden」が火災にあって閉鎖されていることでした。香港出身の朗らかで腕が立つ夫妻の安否が気になります。

 

 今回の旅ではいくつかのショックが重なりました。筆頭はクライスト・チャーチに着陸態勢での、カンタス航空の大揺れでしょう。男の乗務員はヒックリ返るし、これほどエアポケットでの降下は経験したことがありません。カンタス航空は、これまでも機材は古いし食事は不味いしサービスは悪いし、地上スタッフの対応も横柄で感心しないものでしたが、シドニー経由のために搭乗したものの、無事故航空会社という実績とは裏腹に、評価もまた降下しました。

安全を誇るニュージーランドですが、保安警備が厳しくなっています。空港の入国、オークランドの湾岸の雑踏警備が、とても厳重になっていました。

 そして今年は寒い年のようです。クイーンズタウンは25年ぶりの降雪。夜は電気毛布のお世話です。Tシャツでいいはずが、フリースの上着やセーターを買い込みました。

 最後にとても愉しい話題を二つ。クイーンズタウンの東に、アロータウンという映画のセットのように小さな高原の町があります。この地にあるレストランSaffronの料理が実に美味しいのです。実はシェフが日本の知人にそっくり。機敏で精力的な動きで、創造力に富む美味しい料理を出します。スタッフのサービスも良く、それもそのはず、ニューヨーカー誌で世界の100レストランの一つに選ばれているのです。連日通い、堪能しました。政府委員を終了した大宅映子氏も家族と見えており、さぞ翌日は、ゴルフを楽しまれたことでしょう。

 

 サフロンで楽しんで帰る途中、なんと警官の飲酒運転検問に遭遇しました。日本でも、まして海外でも生まれて初めての経験です。この場合は、下手な英語と呼吸術で難関をくぐり抜けるに限ります。

 

今回の旅は、車はパンクするし、タイヤホイールが外れるし、馴れたつもりのニュージーランドで、初めての経験を重ねました。セントラルオタゴ、ホークス・ベイ、オークランド周辺と、まだまだニュージーランドでは新たな経験が待っていそうで、愉しみは深まるばかりです。

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