休日のシドニーとハンターヴァレー

シドニーは蒸す。先週は天候が悪く、これでも良くなったらしいが、アデレードやパース、メルボルンは、炎熱とはいえドライで過ごしやすかった。坂道の港が美しいこの町は、暑いとは言えないが長崎辺りにいるように蒸すのである。人々は緑の公園で思い思いに寝転んでいる。ベンチの人は瞑想しているかのように動かずにいる(最高気温29℃。湿度63%だったらしい)。

 

夜の10時15分に突然花火が3、4分上がった。オリンピックは終わったし、ヤクルトが優勝したわけでもあるまい。選挙で勝ったのか、何かいいことがあったのか。海峡には白いヨットや多数の船が行き交い、ハーバーブリッヂが見える。

 

近くにAustralian Wine Centreがあり、陳列品を見るにつけ、つくづく良いワイナリー巡りをしたことが実感される。Charles MeltonのNine PopesやCullenのCabernet/Merlotはオーストラリアのどこにもないと言う。訊ねたワイナリーの印象的なワインは、いずれも店内に置いてはいない。WynnsのCoonawarra Estate Shirazが21ドルと安く、買う。

ここの紹介で7:30にシーフードのManta Rayへ行く。ウール-ムールーにあるハーバーレストラン。お洒落なカップルが多い。週末はBYOが駄目だって。仕方がないので、帆立入りのスープと車えび、アボガド、オリーブ、トマト、セージ入りのサラダを、セミヨンとリースリングで食べる。
ホテルに急いで戻り、ルームサーヴィスでステーキを頼み、ウィンズのシラーズを開栓して楽しんだ。

 

Hunter Valley(ハンターヴァレー)。開拓時代の初期から入植し、間断はあったものの現在に至るオーストラリアワイン栽培の歴史的地である。シドニーからフリーウェイ経由で2時間弱、150km北東部に位置する。
長命なセミヨン、特筆されるシラーズさらに優れたシャルドネとカベルネがある。
ハーバーブリッヂを渡り、街道からフリーウェイを走り抜け、山林と堆積した岩層をさらに走り、小さな村のInformation Centerでワイナリーの資料をゲット。一日かけて7箇所のワイナリーを回った。

最初に訪問したBriar Ridge(16,000ケース)は、家族経営のいわゆるブティックワイナリーの雄。1972年の創業年から現在に至るまでの経緯が、パネルで入口に架かっている。温かいもてなしとたっぷりのテースティングを愉しんだ。セミヨンから造ったBotrytis 95を、地下のセラーで購入した。

 

次いでPetersons(15,000ケース)。素晴らしい景観の老舗ワイナリー。ブドウ畑では、カベルネが黒くたわわに実っていた。
そしてSaddlers Creek(1万ケース)。ここではセラーの中を案内してもらった。親しみやすいワイナリー。
さらにIvonhoe Wines。150年前から畑を所有するが、最近再開されて生産数は未発表。ここですら10品種のバラエティ。美人にブルーボトルのスパークリングを注がれて、やに下がってしまった。
次に行ったのが、巷間評価が高い大規模なMcWilliam’s Mount Pleasant(生産数未発表)。テースティングの味と評判の乖離に悩むが、長期熟成用にシラーズを一本購入した。

昼食はPeppers Guest HouseのChez Pokで、ラムの柔らかさを堪能した。
食後に行ったのが、Scarborough(1万ケース)。3種のシャルドネとピノ・ノアに特化しており、クーラーが効いた部屋の椅子に腰掛け、食後の快感とブドウ畑の景観に、眠気を誘われるようだった。
次のPeterson Champagne Houseはスパークリングの専門店。セラードアでの会話を愉しんだ。長年懸案であった、澱を取り除き砂糖とブランデーを入れるタイミングを教えてもらい、3工程で10秒〜15秒とか。7,000ケースしか生産しなく、セラードアで殆どが売切れてしまう。
この7箇所のワイナリーを廻り、渋滞が続く道をシドニーに戻ると、なんとしたことか、シドニー在住のS氏が「雲海」で歓待してくれたのだった。
「雲海」は、オープンして2年連続でGood Food Guide Awardを受賞した名店。素敵ないでたちのカップルや、随分躾が行き届いた家族連れで満席。店内からはオペラハウスやハーバーブリッヂが一望でき、素晴らしい景観である。すまんなあ、汚れたTシャツとジーンズ姿で。
タスマニア産の生牡蠣盛合わせの後、ほっき貝とイカ、生牡蠣に甘エビが入った酢の物。オージービーフのたたき。鰆照り焼き。きんき煮物。そして握り寿司。合わせて飲んだのがソービニョン・ブランでShaw and Smith 2000。すごい贅沢を須田さんのお陰で経験できた。余った寿司はTake awayで翌朝戴きました。

 

オーストラリア滞在中に蒐集した図書、パンフレット、雑誌の類が6.1kgになり、翌日GPO(中央郵便局)から小包で日本に送付した。 送料は33ドル。ワイン一本が買えた勘定になる。
昼はホテル横のラーメン屋で五目焼きそばのtake out。美味いのだ。スカボローのシャルドネをひたすら空ける。

夜はオーストラリアワインセンター横のフレンチレストランOne Alfred Street。ワインの値段はワインセンターと遜色がない。前菜のシーフード盛合わせには、ニュージーランドのHuia。ニョッキポテトにはバロッサのGlaetzerを合わせる。
メインの柔らかい羊のグリルには、持参したパリンガのシラーズスパークリングで。シャンパン特有の酸味が強い凝縮感はなく、ソフトなワインを思わせる。泡立ちが長く続き、技術力の高さを示す。ソフトさが物足りなさにつながるのだが、深紅のグラスをローソクの光に透かすと、官能的ですらある。ワインセンターのオーナーが友人と夫妻で来ていたので、レストランのオーナーともどもにシラーズスパークリングをシェアし、乾杯。
皆とfantastic!と愉しんだ。  
羊はあっさりとしていた。シドニー市内ではこってり感を避けているのではないか? デザートのりんごのスフレがアツアツで、添えられたアイスクリームのヒヤヒヤとよく合い、格別に美味だった。

 

翌日の夜はKing143で日本人シェフによるフランス料理を食べた。タスマニア産生牡蠣は何度食べても結構。セミヨンで合わせた後、昨日買ったHay Shed Hillのカベルネの持込を特別に許してもらい、きのこのミルフィーユと鴨の胸肉を戴いた。日本に帰ってきたような雰囲気だった。

 

オーストラリアではeiをaiと発音することは知られている。I go to the hospital todayがto dieとなるのはよく知られたジョークだが、実際アデレードがアデライド、サンデーがサンダイになると、会話ではなかなか判別しづらいもの。HidekiをスペルアウトするとHアイDイーKアイだが、HADEKAと書かれてしまう。ハデカとは俺のことかとヒデキ言いだよ、まったく。

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