オーストラリアワイン-その魅力
このような疑問を持ったが、これはオーストラリア到着翌日に、アデレード近郊のワイン生産地域マクラーレンヴェールを訪問した際に感じたことである。 マクラーレンヴェール(McLaren Vale)は、アデレードから40kmほど南下した丘陵地帯にあり、45ほどの優れたワイナリーがある。そもそも南オーストラリア州都のアデレードには、国中きってのワイン産地が集まっており、いわばオーストラリアワインのメッカと言える。マクラーレンヴェール以外にも、バロッサ・ヴァレー(Barossa
Valley)、クナワラ(Coonawarra)、アデレード・ヒルズ(Adelaide Hills)、クレアー・ヴァレー(Clare Valley)、エデン・ヴァレー(Eden
Valley)と名産地が星のようにきらめいている。
アデレードは南端に位置するものの、この季節、気温は35℃から40℃を超えるなど、熱帯であった。ただし空気が乾燥しており、体もサラリとして不快ではない。日差しの強さは強烈で、日本から持参したサングラスはグラスの縁から強い光が入り込み、ものの役に立たない。慌てて土産物屋で1.500円程度のサングラスを買い、ホッとすることになる。町の中は日陰を求めてサッサと歩く。水は常に補給しなければならない。
さてマクラーレンヴェールであるが、一日でウッドストック、マグリエリ、シーヴュー、コリオール、チャペル・ヒル、タタチーラ、ダレンバーグ、ウィラウィラ、フォックス・クリーク、シャトーレイネラと10箇所の優れたワイナリーを廻った。
ワイナリーの販売所(セラードア)は10時前後に開く。入っていって“Hi,how are you?"の世界となって“テースティング?
何人?"、とボトルが並べられ、人数分のテースティンググラスが置かれる。
収穫は産地の状況によるが,2月の末から4月にかけてとあって,訪問した時期は黒ブドウもまだ硬い緑色の小粒の状態であったが,いずれもこの2ヶ月ほどで一気に爛熟する。
オーストラリアのブドウ畑は,何より有機栽培が圧倒的で気分がよい。気候の恩恵もあるが,ブドウ畑の回りや木々の間の草花も伸び、蝶や虫が(ハエも)飛ぶのは、フランスでは南部を除き見かけない。そしてこの国はフィロキセラ被害の後発国で、被害の祟りを恐れブドウ畑に人が入ることを極端に制限している。畑は金網を張り巡らし、人や動物が入れなくしている。これは意外にも、フランスのどこからでも安易に入り込める造作とは大きな違いである。
オーストラリアワインのラベル(エチケット)は、生産社名とブドウの品種が大きく表示されていて,中身が分かりやすい。ボルドーのように生産社名がワイン名になっているのではなく、ブルゴーニュのように地域名がワイン名になっているのでもない。いわばアメリカ式で、ブドウ品種でワインを選ぶことが出来る。
ワイン地域の地図は勿論のこと、ワイナリーに関するレーティングを始めありとあらゆる文献,解説書,パンフレット、さらにワイナリー毎のリーフレット等の充実は素晴らしく,国を挙げて知りたいことにすぐ答えてくれる、何よりもありがたい国なのである。 |
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