オーストラリアワイン-その魅力

このような疑問を持ったが、これはオーストラリア到着翌日に、アデレード近郊のワイン生産地域マクラーレンヴェールを訪問した際に感じたことである。

マクラーレンヴェール(McLaren Vale)は、アデレードから40kmほど南下した丘陵地帯にあり、45ほどの優れたワイナリーがある。そもそも南オーストラリア州都のアデレードには、国中きってのワイン産地が集まっており、いわばオーストラリアワインのメッカと言える。マクラーレンヴェール以外にも、バロッサ・ヴァレー(Barossa Valley)、クナワラ(Coonawarra)、アデレード・ヒルズ(Adelaide Hills)、クレアー・ヴァレー(Clare Valley)、エデン・ヴァレー(Eden Valley)と名産地が星のようにきらめいている。
南半球のオーストラリアでは北半球の逆で、日本の冬が夏の時期になる。また北に行くほど熱くなり、南に行くほど涼しくなる。北風=温かいのだ。太陽は西から昇る。これはウソ。

 

アデレードは南端に位置するものの、この季節、気温は35℃から40℃を超えるなど、熱帯であった。ただし空気が乾燥しており、体もサラリとして不快ではない。日差しの強さは強烈で、日本から持参したサングラスはグラスの縁から強い光が入り込み、ものの役に立たない。慌てて土産物屋で1.500円程度のサングラスを買い、ホッとすることになる。町の中は日陰を求めてサッサと歩く。水は常に補給しなければならない。

 

さてマクラーレンヴェールであるが、一日でウッドストック、マグリエリ、シーヴュー、コリオール、チャペル・ヒル、タタチーラ、ダレンバーグ、ウィラウィラ、フォックス・クリーク、シャトーレイネラと10箇所の優れたワイナリーを廻った。

 

ワイナリーの販売所(セラードア)は10時前後に開く。入っていって“Hi,how are you?"の世界となって“テースティング? 何人?"、とボトルが並べられ、人数分のテースティンググラスが置かれる。
“どれがいい?"“白からにしよう"“ではこれからどうぞ"少量のテースティングが済むと次のボトルを注ぎ“えらく暑いね"“今年はすごいよ"としばし歓談。“次は樽熟のシャルドネがいい"“私は赤にしよう"ガヤガヤ。“美味しかった、ありがとう"“See you later(さようなら)"と、いっては何だが何の後腐れもなく終わる。
勿論、気に入ったらワインを購入するし,今年のワインの予想を聞き,ワイナリーの歴史を聞くと喜んで話し相手になってくれるが,要は味を楽しむだけでよいのである。15分で終わるし,これを次々と繰り返していくと, 3軒目辺りで味が混濁してしまう。当方はテースティングといっても、まず飲んでしまうからで,馴れてくるとあまり好みでないワインは、早々にグラスを空樽に放つことになる。

 

チャペル・ヒル(年産45,000ケース),やフォックス・クリーク(15,000ケース)では、ワイン醸造家自らテースティングを提供し,ワイナリーを説明し,醸造工程やセラーを案内するなどの特権を得た。
おかげで、なかなかには知りえないオーストラリアワインの世界,わけてもワイン醸造家の精進ぶりやワイン製造法、方針などを早々に理解することが出来た。
昼食はSalopian innで摂った。このレストランはマクラーレンヴェール入口の目印になっている一軒家で、芝生のテラスでも食事が楽しめる。何より半地下にセラーがあって、ヴィンテージ物のワインが格安で置いてあり、一同狂喜して選んだワインはTatachilla Cabernet Sauvignon 1972。価格は40ドル(2,700円)。30年を経てもしっとりとした味わいを残すワインにただただ敬服。合わせた食事は、アデレード在住美人がカンガルーのフィレ。男性群は牛に鴨。このセラーのワインを買い占める(?)ためにも、再訪したい。

 

収穫は産地の状況によるが,2月の末から4月にかけてとあって,訪問した時期は黒ブドウもまだ硬い緑色の小粒の状態であったが,いずれもこの2ヶ月ほどで一気に爛熟する。

 

オーストラリアのブドウ畑は,何より有機栽培が圧倒的で気分がよい。気候の恩恵もあるが,ブドウ畑の回りや木々の間の草花も伸び、蝶や虫が(ハエも)飛ぶのは、フランスでは南部を除き見かけない。そしてこの国はフィロキセラ被害の後発国で、被害の祟りを恐れブドウ畑に人が入ることを極端に制限している。畑は金網を張り巡らし、人や動物が入れなくしている。これは意外にも、フランスのどこからでも安易に入り込める造作とは大きな違いである。

オーストラリアワインのラベル(エチケット)は、生産社名とブドウの品種が大きく表示されていて,中身が分かりやすい。ボルドーのように生産社名がワイン名になっているのではなく、ブルゴーニュのように地域名がワイン名になっているのでもない。いわばアメリカ式で、ブドウ品種でワインを選ぶことが出来る。
ボトルの裏面のラベルには、ワイン醸造家や批評家によるワインの特徴、使用品種の説明が詳しく、単なるPRに終わらず有益である。ボトルの形は、ブドウ品種に合わせてボルドー型、ブルゴーニュ型、アルザス・ドイツ型となっており、その形でもワインの性質の見当がつけられる。

 

ワイン地域の地図は勿論のこと、ワイナリーに関するレーティングを始めありとあらゆる文献,解説書,パンフレット、さらにワイナリー毎のリーフレット等の充実は素晴らしく,国を挙げて知りたいことにすぐ答えてくれる、何よりもありがたい国なのである。

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