ニュージーランド編 マールボロ地域での逗留

マールボロ地域での逗留

 

 クライストチャーチを20分も走ると田園になり、さらに30分ほど快適に高速道を走るとWaiparaに着く。ここにも優秀なワイナリーが散在(15)しており、Pegasus Bay(2万ケース)でシャルドネ、ソービニョン・セミヨンそしてピノを楽しむ。共に1年の樽熟で、将来の期待大。バロッサのロックフォードに似て、丘陵の麓にある。畑が遠くに眺められた。
Canterbury House Vineyards(19,000ケース)は、広大なブドウ畑を背後に持つ。ニュージーランドの名を高めたソービニョン・ブランを味わう。香りはさまざまな柑橘系の甘さが漂うがかなりの辛口。敢えて97年の熟成リースリングを購入。まるでドライシェリー。これで14.9ドル(800円)は廉い。

 

マールボロまでの道は実に快適である。丘陵を眺めながら(どの丘にも白い点が面で広がる。羊である)、道は広域農道になったり(畑の中をひた走る)、山岳輸送道になったり(細く狭い急勾配をトラックと走る)、追分街道 (林の中の急カーブ)になったり。峠で気候が変わり、下りたところがKaikoura。鯨ウォッチングの看板がある磯の町。日本の海岸を走っているような気分になり、ニュージーランドにまったく違和感がなくなった。地名もいい。カイコウラ、海小浦だ。

 

大きなムール貝フライとサラダを食べ、しっかり先ほどのリースリングを3杯飲む。フィジーのような海岸線と平原をさらに走り通し、ついにニュージーランドワインの首都と呼ばれるマールボロワイナリーの町Blenheim(ブレノンと発音する)に到着した。5時間と聞いていたが、ワイナリー巡りもあって7時間を費やした。
町のInformation Centerで、ブドウ畑に位置するB&Bを希望し、案内された所がRenwickにあるDevonia。ここが第二の故郷になった。

 

デボニアを営む老夫妻モーリーとマーグは、5年前にオークランドのモーテル経営を止めてレンウィックへ移って来た。山が遥かに見え気候は温暖で、風は強いときもあるがとても快適な場所として、レンウィックを選んだ。崖を開墾し見事な花壇にし、芝生を丹念に植え込み、家の外壁を白く塗り、部屋の壁を貼り、手すりや扉も塗って、それこそすべて自分達で改造して、3部屋だけの素敵なB&Bとした。1泊65ドルわずか3,500円と言う。勿論美味しい朝食付き。 いったい今まで払ってきたのは何だったのか、と訝しく思えた。

 

ウエルカムドリンクにコーヒーがいいか、紅茶か、それともワインか、と聞かれ、出てきたのがポンダーという画家が描いた人物画をラベルにしたソービニョン・ブランのハーフボトル。驚いた。昨夜トム一家の娘さんの部屋に4枚飾ってあった繊細で陰影に富んだ絵が、ここで再現されるとは。ポンダー氏が営むワイナリーが、マールボロに在ったのだ。
北は暖かい。芝生の庭に椅子を持ち出して、強い日差しを浴びながら、楽しいワイン歓談が7時過ぎまで続いた。そしてここに5日間逗留することにした。先を急ぐ旅を止め、観光地を廻る予定を止め、十分マールボロのワインを堪能することに決めた。レンウィックの爽やかな自然と、デボニアの二人のホスピタリティがそうさせた。

 

夜は、勧めに従いHunter’s Winesのレストランで。8時に行ったら満席だった。マーグの予約に感謝。食べたのはムール貝のワイン蒸しと鶏胸肉のパン皮包み揚げ。美佳!!ムール貝のスープは絶品だし、チキンは味が引き締まっていて皮のパリリとした感触がとても新鮮だった。そのソースは少し甘味が強かったが、素材を選ぶ目と調理の腕は優れもの。どんな年季を積んだシェフかと聞けば、わずか25歳!
厨房から出てきたときに挨拶を交わしたが、小柄ながらがっしりとした25歳のシェフだった。彼に、近海でたくさん獲れるという鮑と伊勢海老の料理を造ってもらえないか。
合わせたワインはハンターズの98シャルドネ。甘いミルクのブーケはオークの樹脂からくるもので、マールボロ地区に共通する。色はライトミディアムグリーン。柑橘系の味わい、喉越しはかすかに甘く品がよい。濃厚な熟成感というより、生来の深い味が生育したという按配。

 

デボニアからこのハンターズワイナリーまでは、ブドウ畑の間をひたすら直進する。距離にして11km。夕陽を受けながら120km/hで走る。
帰路は暗闇を戻る。今日は355km走ったことになる。

 

ニュージーランドは山岳国のイメージがする。今日も磯と呼べる一帯を走り、漁港はこのブレノンから11kmしか離れていず、大型の鯛やロブスター、鮑が獲れるのに、堅牢な岩盤の山脈が海に落ち込んでそこから丘を形作るので、マールボロワイナリーは丘陵の中にある。遥かに丘や山脈を眺め、冷風と強い日差しを浴びると、どうしても標高2,000m辺りのイメージがある。ニュージーランドはシーフードを愉しむ海洋国、と自分を納得させる。だから、ソービニョン・ブランのように旨い白ワインが産出されるのである。

<< 麗(うるわ)わしい国ニュージーランド

ワイン旅行記トップ >>

ページトップ