ワイン入門
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| 見 る | 私はワインが好きです。ですからワインを飲むときには、すぐに手にとって飲もうとせず、まずじっとグラスの中のワインを見ます。グラスの中でワインがどのような状態になっているのかを、静かに観察するのです。初対面の場合は、軽く緊張します。
ワインは新しくても、寝かせて熟成されたものでも、注がれたときには健康的に澄み渡っているものです。濁りや陰があるのは正常なワインとはいえません(熟成したワインに見られる澱とは違います)。
ワインの熟成具合(どの程度若いのか老練なのか)は、やはりグラスを少し倒したときの縁(気液)の色調で分かります。赤ワインは通常まだ年が新しく若いうちは濃紫色を示し、熟成するに従って濃さが消えていき、茶褐色さらにはレンガ色に変わっていきます。
グラスを立てて元に戻したときに、グラスの内側にワインの滴跡が残ります。この滴(イギリスでは脚)の具合がはっきりとグラスの内側に残るものは粘着性が高く、一般にアルコール度が高くて構成がしっかりとしたワインと言われています。
| 嗅 ぐ | グラスを揺すらないで静かに鼻の下へ持ってきて、ワインの香りを嗅ぎます。適切なグラスを使う意義がここではっきりします。透明なクリスタルグラスの胴の部分が膨らんでいて、ここにワインの香りが溜まるのです。そこから立ち昇るワインの香りを大いに愉しみましょう。
長期間の熟成に耐えられるように作られたワインからは実に多様で複雑な香り−ぶどうの香りを始め樽の匂い、さまざまな果物や花の香り、甘いチョコレートやタバコの香り、さらには皮や草、動物の匂いまでも−が嗅ぎ分けられると言います。
何度も匂う必要はありません。一度で十分ですので、思い切り鼻腔を広げて、嗅ぎ取るようにしましょう。
ではなぜワイングラスをゆっくり廻して、中のワイン液を空気と触れるようにするのでしょう。
また相当の熟成を経たワインは、すでに十分空気と親しんでいますので、グラスに移して廻すことはしません。時間の経過に感謝しながら、そのまま押し頂くようにします。
飲み終わって、空になったグラスの残香を嗅ぐのも楽しいものです。最初に注がれたときとは違った、まるで熟成しきったかのように、華やかなあるいは甘い香りが楽しめる場合があります。
参考までに、嗅ぎ分けの再生法をお伝えします。数回匂いのチェックを繰り返すと、鼻は嗅覚を失い、微妙な違いが分からなくなります。嗅覚を戻すには、自分の匂いに戻るのが一番適切なので、自分の腕先を時々嗅いで嗅覚を戻します。テースティングのときはくれぐれもコロンの類を腕に振らないようにします。
| 味わう | ワインの香りを十分鼻腔から感じ取った後は、いよいよワインを口に含みます。心ゆくまでワインを愉しむときです。「美味しい」と素直に声に出せればしめたもの。大当たりでした。
テースティングの世界では、この味覚を少し分析して評価します。香りでは感じ取れなかった味のバランス、酸味、タンニン分、アルコール度、ミネラル、甘味それに旨味を感じ取ります。
プロの試飲会ではワインを飲むときに、わざと口をすぼめて空気と一緒に吸い込んで(音まで立てながら)、ワインの変化や可能性の具合を試します。口の中でワインを噛んだり、舌のあちこちにワインを転がして味の要素を確認して、最後に吐き出します。その後、口や鼻腔に残ったワインの味と香りの余韻を愉しみます。この余韻の時間が長いほど、一般に優れたワインと評価します。
しかし、決してこれをレストランで真似しないで下さい。最初はとにかく自分が「美味しい」と思うワインと出会えるように、何度かワインを飲んでみます。そのうちに、このワインをこういう料理に合わせてみてはどうだろうとか、多少癖や難点があっても料理やシチュエーションによっては愉しみ方があるかもしれないと思うようになれば、応用の範囲が広がって、ワインを飲むことがずっと気軽で愉しくなることでしょう。 |
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